D.Y.F.Cオンラインアカデミー NIPPONぐるり地形学
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NIPPONぐるり地形学

第2回目:三陸海岸

三陸海岸

三陸海岸とは、⻘森県⼋⼾(はちのへ)市から宮城県牡⿅(おしか)半島に⾄る約600kmに及ぶ海岸線のこと。地殻変動による隆起や沈⽔によって作られた複雑な地形が連なる。そして⾯⽩いことに、宮古付近を境に北部と南部とでその地形は異なっている。北部は⽩亜紀の地層によって形成。隆起による台地状の⼭並みが連なり、突端は断崖絶壁となって海に⾯している「海成段丘(海岸段丘とも⾔う)」が発達。南部は⽇本列島最古とも⾔われる古⽣代の地層によって形成。隆起による「海成段丘」とは異なり、海が陸地深く侵⼊したことで岬と⼊り江が連続する「リアス海岸」になっている。

地形の成り⽴ち

三陸海岸

三陸海岸北部の海成段丘は、何⼗万年をかけて現在の地形になったと⾔われている。⼤地の隆起・沈降と海⽔⾯の変動が繰り返され、波による浸⾷や運ばれてきた⼟や砂による平坦な海底が地上に現れた。海岸線は直線的に断崖が続き、断崖の上部は平坦な場所が広がる。隆起によって形成されたこの平坦⾯は牧畜や耕作などに利⽤されてきた。南部のリアス海岸は、海が⼊り込んで形成された⼊り江と湾が繰り返す海岸線。約1万年前、⽇本では縄⽂時代の頃、氷河期の終わりとともに海⽔⾯が上昇。⼭や⾕が沈み陸地が⽔没したことでリアス海岸が形成されていったと思われる。
三陸海岸は明治期に陸前、陸中、陸奥の三国にまたがる海岸という意味で、こう呼ばれるようになったとか。同じ三陸海岸に属していながら北部と南部で地形の成り⽴ちがまったく異なるのはとても⾯⽩い。

海流と三陸沿岸

三陸海岸

三陸沖では北から親潮(千島海流)、南から⿊潮(⽇本海流)、寒暖両流が接する潮⽬が形成されている。親潮はプランクトンを多く含む栄養分に富んだ海流で、南から流れてくる暖流の⿊潮とぶつかると、親潮の豊富な栄養が⿊潮によって温められてプラン
クトンが増える。するとそれをエサとする⼩⿂が集まり、さらにその⼩⿂をエサとする⿂が集まる。このような潮⽬が存在することで、三陸沖にはさまざまな⿂種が集まってくるのだ。
地殻変動による独特な地形と海流などの影響が良い相乗効果を⽣み出し、三陸海岸沿岸・沖合は豊かな海の恵みに満ちている。

三陸海岸の釣り対象⿂

三陸海岸

三陸海岸の北部と南部では地形は⼤きく異なるが、釣りの対象⿂はそんなに変わらない。沿岸の釣りでは春から夏にかけてカレイ、ヒラメ、アイナメ、ソイなどの根⿂が狙える。さらにメバル、ハゼ、そしてシーバスも。夏からはヤリイカ、スルメイカなどのイカ釣り、アナゴ狙いも楽しい。⻘物もよく釣れる。冬はタラを狙う釣り⼈も多い。特徴的な地形が連なる三陸海岸は、豊富な⿂種を楽しめる絶好の釣り場である。

【参考】
東北地⽅整備局釜⽯港湾事務所HP、三陸ジオパークオフィシャルWEBサイト、
岩⼿県庁ホームページ「三陸沿岸の概要」、気象庁HP「知識・解説」、岩⼿県⽔産技術センター
「⿂類図鑑/岩⼿の海にすむ⿂たち」、DAIWA「釣⿂図鑑」など
Infographics by HIROKI MASUDA © GLOBERIDE