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第4回目:大阪湾

大阪湾

大阪湾は2つの開口部を持つ閉鎖的な内湾である。明石海峡(あか しかいきょう)で播磨灘(はりまなだ)に対して、紀淡海峡(きたん かいきょう)で紀伊水道(きいすいどう)に対して開口している。大 阪湾の範囲は明確に定められているわけではないが、「大阪湾再生行 動計画」では「田倉埼/たくらざき(和歌山県和歌山市)と生石鼻/ おいしばな(兵庫県淡路島)を結ぶ線、松帆埼/まつほざき(兵庫県 淡路島)と朝霧川/あさぎりがわ河口左岸(兵庫県明石市)を結ぶ線 及び陸地によって囲まれた海域」と定義 されている。
大阪湾の面積は約1450平方キロメートル、北東から南⻄に約60キロ メートルの楕円形だ。北側には六甲山地などの高い山地、東側には大 阪平野などの低地、⻄側は淡路島という特異な地形になっている。ち なみに大阪湾は、領海法において瀬戶内海の範囲に含まれている。

東は遠浅、⻄は複雑な水深

大阪湾

大阪湾は中央部の水深20メートルの等深線を境に東側と⻄側 で様相が異なっている。東側の海域では海底の傾斜が緩やかな 遠浅の平坦な地形となっている。この水深20mまでの海域面積 は、大阪湾全域の約46%にあたると言われる。一方で⻄側は海 峡部に向かって深くなっていく。海峡部の水深は100メートル以 上になるところもある。
水深が複雑な大阪湾には、泥や砂場から岩場や藻場までさまざまな環境があり、それぞれに適した魚が住んでいる。
泥や砂場にはカレイ類やオニオコゼなどがいて、岩場にはカサゴやメバル、カワハギ、アイナメなど、磯にはギンポやハゼの仲間が多く棲息(せいそく)している。

大阪湾はタコが有名!

大阪湾

大阪が「なにわ」とも呼ばれるのは、大阪湾が魚貝類に恵ま れた「魚の庭(なのにわ)」だからとか。沿岸の砂泥域にカレイ、 エビ、カニ、岩礁域にはクロダイ、カサゴ、マダコ、河口域に はスズキ、ボラ、表層付近にはイワシなど、大阪湾に棲息する 食用の魚介類は約230種と言われている。
ちなみに大阪といえばタコ焼きが有名だが、大阪府にある弥生時代の遺跡からはタコ壺らしきものが出土している。大阪では古くからタコの習性を利用し、タコ壺漁をしていたのだろう。大阪湾や淡路島周辺、播磨灘の一帯はタコが好む砂混じりの海底が広がっていることもあり、タコが多く棲息している。

【参考】
第五管区海上保安本部海洋情報部「海の相談室」、大阪府ホームページ、環境省ホーム ページ、大阪府立環境農林水産総合研究所「大阪湾のさかな図鑑」、国土交通省近畿地方整備局大阪湾環境データベース、全国漁業協同組合連合会プライドフィッシュ「大阪府」
Infographics by HIROKI MASUDA © GLOBERIDE