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第7回目:相模湾·相模灘

相模湾·相模灘

相模湾は富山湾、駿河湾とともに日本3大深湾と呼ばれ、とても深い海域をもつ。大陸棚がほとんどなく、沿岸から比較的近いところから急に深くなり、場所によっては1000メートル以上の水深となる。
一般的な定義では、相模湾は神奈川県の城ヶ島から真鶴半島を結ぶ線より北側の海域とされる。それより南側は相模灘と呼ばれ、三浦半島の剱崎から伊豆大島、伊豆半島の石廊崎を結ぶ線の北側の海域と定義されている。

相模湾·相模灘には2つの海水層がある

相模湾·相模灘

相模湾・相模灘は、表層部と深層部で異なる海水の層がある。表層部には温かい黒潮系の海水が流れていて、黒潮に乗って多様な魚が相模灘、そして相模湾にやってくる。また、水深約250メートルから1000メートル付近の深層部には、冷たい親潮系の海水が流れ込んでいる。これが相模湾・相模灘に豊富な栄養をもたらしていると考えられている。また、沿岸部の山や森からは川を通して栄養分が相模湾・相模灘に流れ込んでいる。
海流や地形などさまざまな影響を受け、相模湾・相模灘では温帯系の魚の他に熱帯系や冷水系の魚、そして深海魚もたくさん棲息。約1600種の魚が棲息するといわれている。これは日本近海に生息する魚種のおおよそ3分の1である。そのうち約300種類は、食べることができる魚とか。

豊かな海、相模湾·相模灘

相模湾·相模灘

相模湾・相模灘の表層部で主に釣れる魚は、アジ、サバ、イワシ、マグロ、カツオ、ブリなどの青物の他に、カサゴ、メバルなどの根魚も。 タイやイカなども釣り人には人気だ。カジキやシイラなどの大物を狙う人も多い。
また相模湾ではシラスも有名。シラスはイワシ(主にカタクチイワシ)の稚魚。春に太平洋を西から東に流れる黒潮に乗って、たくさんのシラスが相模湾にやってくるのだ。豊かな海だけに、相模湾で生まれ育つシラスもいる。

相模湾·相模灘は「深海釣り」も人気 

相模湾·相模灘

深海とは一般的に水深200メートル以上の深さの海のことを指す。太陽光がほとんど届かないため水温は低く、また水圧はとても高くなる。相模湾・相模灘の海底にも過酷な海で独自の進化を遂げてきた深海魚がたくさん棲息。そしてここ数年、深海魚への注目が集まり、「深海釣り」も人気となっている。
「深海釣り」の主なターゲットはキンメダイ、アカムツ、カマス、アンコウ、オニカサゴなど。深海魚の中には高級魚といわれるものも多く、釣り人を魅了している。
また、相模湾・相模灘の深海域には多くの種類のサメが棲息していると言われている。「深海釣り」でサメを釣り上げることも多いが、くれぐれも気をつけたいものだ。

【参考】
神奈川県ホームページ「相模湾」「おさかな図鑑メニュー」「相模湾試験場紹介」「相模灘沿岸海岸保全基本計画」「かながわの魚 シラス」、小田原の魚ブランド化·消費拡大協議会、PRIDE FISH「神奈川県」、国土交通省国土地理院「地名等の英語表記規程」、日本近海海底地形誌-海底俯瞰図集(茂木昭夫 著/東京大学出版会)
Infographics by HIROKI MASUDA © GLOBERIDE