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高橋 慶朗

ソルトウォータールアーフィッシングの第一人者である高橋慶朗(みちあき)さんに
お話しをうかがいました。

高橋 慶朗

ジギング、シーバス、そしてヒラメ釣り。ソルトウォータールアーフィッシングの第一人者である高橋慶朗(みちあき)さん。DAIWA,のフィールドテスターとして歴史に残る数々の記録を作り、スーパーアングラーとして絶大な人気を誇っています。 “ミッチー”のフィールドネームでもお馴染みです。年間200日近い釣行を行うという高橋さんですが、実はグローブライド株式会社でルアーの製品企画を担当するサラリーマンでもあります。釣りの世界で、まさにマルチでスーパーな毎日を過ごす高橋慶朗さんに、現在の活躍に至るストーリーをお聞きしました。

高橋さんといえば、サラリーマンとしてルアーの製品企画を担当しながらフィールドテスターもこなすスーパーアングラーとして人気を集めていますが、現在のご活躍に至るきっかけは第1回DAIWA SUPER FRESH ANGLER(スーパーフレッシュアングラー/通称SFA)のオーディションに合格したことだったそうですね。

高橋さん:当時、足繁く通っていた船宿の船長に勧められたんです。「SFAのオーディションがある。もう話はついているから受けてみろ。プロのアングラーになれ」って。もちろん“話がついている”わけないんですけど(笑)、船長に勧められてなんとなく申し込んでみようかなと。その頃の自分は、平日は仕事をしながら夜は釣り、休日は終日釣り、年2回は海外釣行という釣り漬けの生活でした。ジギングやキャスティングが得意で、船宿主催の釣りスクールを講師として手伝ったりもしていました。釣りの腕も相当上がっていましたので、船長はそんな自分を評価してくれたんでしょうね。今振り返ると、SFAというきっかけをくれた船長にとても感謝しています。

高橋慶朗2020年、宮崎県のサーフでのルアー釣りで150センチのオオニベを釣り上げ、日本記録を作った。

SFAのオーディションはいかがでしたか?

高橋さん:書類審査、面接とスムースに進みました。この時のSFAは、ジギングや磯釣りのプロアングラーを育てたいと思っていたそうで、DAIWAが求めていた人材に僕がちょうど合致したんですね。最終選考の実釣では、アシストフックを付けたメタルジグを使って、大物のブリを釣り上げることができました。もちろん当時はアシストフック付きのジグなんてないので、自分で付けたんですよ! つまり手作り! でもそんな裏技をいち早く使いこなしていることも評価してもらいました。

そもそも釣りはいつ頃から始めたのですか? さまざまな釣種の中から、なぜルアーフィッシングに惹かれていったのですか?

高橋さん:父親が釣り好きだったので、子どもの時から一緒に釣りに行っていました。小学生の頃はエサ釣りが多かったですね。中学生になった頃からブラックバスにハマってしまい、もうそこからはルアーフィッシングの魅力に引き込まれていきました。ルアーフィッシングの魅力は、なんといってもかっこいいこと! ルアーフィッシングは魚を捕食するフィッシュイーターを対象魚とするわけですが、大きな魚体で大口を開けてルアーに喰いついてくる様子は、アングラーの闘志を駆り立てますね。闘志あふれる魚との駆け引きが面白いし、かっこいいんですよ!

高橋慶朗1998年のSFAオーディションで釣り上げたブリ。潮の流れが早い瀬戸内海クダコ島周辺にて。

社会人になってから、釣りへの情熱がさらに高まっていったそうですね。その後SFA、フィールドテスター、そして社員としてDAIWAの製品企画を担当することになりました。まさに人生の転機が次々と訪れましたね。

高橋さん:僕は茨城県水戸の出身なのですが、SFAとしての活動を始めた当初はまだ地元の企業に勤めていました。いわゆる“二足のわらじ”で活動をしていたのですが、SFA合格の翌年(1999年)、スピニングリール「SALTIGA/ソルティガ」が発売されて、その販売促進プロジェクトメンバーになったんです。ソルティガは大成功をおさめ、フィールドテスターとしての功績を高く評価してもらい、「社員としてDAIWAの製品企画をしてみないか」と声をかけてもらったんです。ただ実はこの時は地元に残ることを選択し、系列会社である釣具ショップ「キャスティング」に転職。釣り具ショップ店員とフィールドテスター、いわゆる“二足のわらじ”はそのままで仕事は大変でしたが、釣りが好きでしたから、終日釣りに関われることが楽しかったですね。転職してまもなく「ミッチー、次はシーバスだ!」と言われ、シーバスフィッシングのフラッグシップモデル「morethan/モアザン」のフィールドテスターになりました。担当したロッドは爆発的なヒット! これはとても嬉しかったですね。「キャスティング」に転職してから5年が過ぎた頃、再び「社員としてDAIWAの製品企画をしてみないか」と声をかけられました。二足のわらじで懸命に釣りに向き合っている様子をちゃんと見ていてくれたんですね。そして自分も、DAIWA製品企画を担当しながらフィールドテスターもこなしていくことを決意。現在の“二足のわらじ”スタイルに至っています。僕のようなスタイルで仕事をしている人はほとんどいません。とても珍しいですね。

現在はルアーの製品企画を担当し、同時にフィールドテスターとしても活躍されています。どちらも活動していくために、どのようなスケジュールで仕事をしているのですか?

高橋さん:ルアーの開発は魚の気持ちになって考えるところから始まります。まだ世の中にないものを生み出すのが製品企画の醍醐味ですね。新製品の構想から製品化まで一貫して担当します。その合間にフィールドテスターの仕事もこなします。自分で考えたアイデアを形にして、その使い勝手をフィールドテスターとして検証。修正したものをまたフィールドで検証。アイデアから製品化、販売促進まですべてに自分が関わることができるのは幸せですね。またフィールドテスターの仕事は製品の検証だけでなく、TVや雑誌などへの出演も大事な仕事です。メディアを通して、自分が担当する釣種の説明や商品PRなども行います。ロケの時は早朝から仕事が始まることも多いですし、製品企画との“二足のわらじ”は正直、大変ですよ。ロケで2〜3日、会社を離れていたら、机の上に仕事が山積みになっていた、なんてこともしょっちゅうです(笑)。でも好きですから、釣りが。大変だけど今の仕事スタイルに大きなやりがいを感じています。

高橋慶朗2006年、自らが考案したペンシルベイトルアー「レイジー95S」で107センチのシーバスを釣る。
これは世界記録であり、今も破られていない。

サラリーマンとして釣り具の製品企画をしながらフィールドテスターとしても活躍する高橋さんに憧れる子どもたちに、メッセージをください。

高橋さん:フィールドテスターなど、将来、釣りの世界で仕事をしていきたいならば、まずは今、思いっきり釣りを楽しんでください。「釣りが好き」という気持ちを大切に、楽しく釣りの腕を磨いて欲しいと思います。そしてチャンスが訪れたときにそのチャンスを逃さずにしっかりつかむこと。一生懸命な姿は、必ず誰かが見ているものです。訪れたチャンスを逃さないためにも、釣りの経験をとことん極めておくことが大事ですね。そして、もう一つ。学業も頑張ること。勉強が苦手な人もいるかもしれませんが、もし企業で釣り具の製品企画などの仕事をしてみたいなら、知識の準備も必要です。経験と知識の準備が整ったら、ぜひチャンスを掴んで、こちらにきてください。待っています!