高本采実 先生
近畿大学農学部水産学科を卒業し、在学時はサメやマグロをはじめとした魚の研究に没頭。
現在はSNSや各メディアにて釣りと共に魚の生態をはじめとした豆知識をイラストと共に発信するなど、魚の魅力と釣りの魅力を伝えるために活躍中。
メジナの幼魚のお話。
タイドプール(潮溜まり)といって、
干潮時に岩礁などの隙間にできる海水の水溜りがあります。
引き潮の時にそこにとじこめられたメジナたち、
とっても興味深い行動をし始めるのです。
閉じ込められて最初の10〜20分は
みんな各々自由に泳いだり
餌をつついたりしています。
が、その後…!
つつきあいの攻撃が突如スタートします!
直前まで隣でエサを自由につつき合っていた個体同士でさえも..
しかも、まるで元々体長順を把握していたかのような
体長の大きい個体からつつき出すことが多く
そうして決まった順位も
大概体長順に一致します。
そして順位が1位の者から
定住する場所を選び取ります。
エサ場や隠れ場所に最適な底の方が人気で、
たたかいに負けた、順位が下の体長が小さいメジナたちは
中層から上層の方に追いやられます。
そう、場所を取ったあとは自分のなわばりとしていくのです。
しかしまたおもしろいことに、
最干潮時が過ぎ、満潮に近づくにつれ、
つつきあいの回数は減っていき
外からまたタイドプールに海水が入ってくると
メジナたちはまた別の場所に移動しだし
この順位となわばりは消滅します。
何だか不思議ですごい社会構造をもつ
メジナ幼魚でした。