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気象学

<第4回>
ゲリラ豪雨と線状降水帯

ゲリラ豪雨と線状降水帯

(1)極端な大雨が増えているって本当?
地球温暖化の影響?

皆さんはテレビや新聞のニュースなどで、大雨によって川があふれたり、家が水浸しになったりしている様子を見て驚いたことがあるのではないでしょうか。実は昔に比べると、極端な大雨が増えているのです。
1時間に80ミリ以上の雨を「猛烈な雨」といいますが、これは傘がまったく役に立たなかったり、恐怖を感じたりするような雨です。実際に日本ではこの猛烈な雨の降る回数が、2021年までの10年間では、1985年までの10年間に比べて約1.7倍も増えているのです。
この原因と考えられているのが地球温暖化です。なぜ地球温暖化によって極端な大雨が増えるのかというと、気温が高くなることで大気中の水蒸気量が増えるためです。空気には気温が高いほど雨の原料となる水蒸気を多く含むことができる性質があり、地球温暖化が進むと極端な大雨が増えるのではないかと考えられています。

全国[アメダス]1時間降水量80ミリ以上の年間発生回数極端な大雨が増えているって本当?データ出典:気象庁

(2)ゲリラ豪雨と線状降水帯の違いは?
被害に遭わないためにはどうする?

また大雨のニュースのなかで、「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。この二つの言葉の違いはなんでしょうか。
「ゲリラ豪雨」の正体は第一回、第二回でもお伝えした積乱雲による局地的な雨で横方向への広がりは小さく、十数キロメートル程度です。ひとつの積乱雲の寿命は30分~1時間ほどで、短時間でその一生を終えます。ゲリラ豪雨は「急に雨が降ってきた!」と感じられる雨ですが、その雨雲は雨が降ってくるより前からレーダーで捉えられている場合がほとんどです。空の変化を感じたら、レーダーで積乱雲の動きを確認して雨が降り出す前に建物の中に入りましょう。

積乱雲による局地的な大雨ゲリラ豪雨と線状降水帯の違いは?写真出典:『すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)

一方で線状降水帯は、積乱雲が連なることで発生します。ひとつの積乱雲がもたらす雨量は数十ミリですが、積乱雲が風上側で次々と発生して連なると、同じような場所で強い雨が数時間にわたって降り続き、雨量が100ミリ~数100ミリにもなる集中豪雨をもたらします。線状降水帯は長さ50~300キロメートル程度、幅20~50キロメートル程度と形が線状で大きな災害にもつながるような危険な現象であるにも関わらず、ゲリラ豪雨と同様、正確な予測が難しいのが現状です。こうした極端な現象に対しては、あらかじめ緊急の避難場所を確認したり非常用品を備えたりしておくなど、いざという時にすぐに避難行動に移せるよう日頃からの備えが大切です。

線状降水帯の雲被害に遭わないためにはどうする?写真出典:『すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)

線状降水帯のしくみ写真出典:『すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)

Column釣りと天気「河川での釣りは天気の急変に注意」

釣りと天気「気圧と魚の関係」

警察庁によると2020年の河川・湖沼池での死者・行方不明者は288人(うち中学生以下の子どもは19人)で、水難事故全体の約40%を占める。事故発生はおおよそ夏季に集中していて、これは夏休みやレジャーで河川の利用が増えるためだ。釣り人にとっても初夏から秋にかけては釣りを楽しむにはいい季節。特に6月からはアユ釣りが解禁。待ちに待ったシーズンだけに心浮かれる人も多いと思うが、河川での釣りは常に天候の変化に気を配る必要がある。自分のいる場所で雨が降っていなくても、上流でゲリラ豪雨になれば鉄砲水の被害にあったり、いつの間にか増水して中洲に取り残されてしまうこともあるので注意したい。その日の釣果を求めて「あともう少し…」と粘る釣り人は多いが、雷の音が聞こえてきたり、急に空が真っ暗になったりしたら、天候の変化を甘く考えず、すぐに釣竿を片付ける気持ちの切り替えも大切だ。自然の中で気持ちよく釣りを楽しむためには、天気の知識を身につけて、決して無理をしないことを心がけたい。
参考:公益財団法人河川財団「no more水難事故2021」など

太田絢子さん

太田絢子さん(気象予報士/防災士)

中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、災害の被害に遭う人をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。2019年4月からは地元の東海地方で活動中。