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気象学

<第5回>
日本がどんどん暑くなっている!

日本がどんどん暑くなっている!

(1)猛暑日が増えているって本当?
世界はどうなっている?

夏は川や海や山など、外で楽しめるレジャーがいっぱい! でも、暑すぎて長い時間は外で遊べない…そう感じたことはありませんか?
実は、現在の地球は過去1400年で最も暖かくなっていて、平均気温はここ最近の100年あたり世界では0.73℃、日本ではさらに大きく1.28℃も上昇しています。日本の歴代最高気温の上位10地点のうち、9地点は2000年代以降に観測されたもので、1日の最高気温が35℃以上の猛暑日の日数も昔と比べて増えているのです。

全国の最高気温ランキング全国の最高気温ランキング各地点の観測史上1位の値を使ってランキングを作成
データ出典:気象庁

[全国13地点平均]日最高気温35℃以上の年間日数(猛暑日)[全国13地点平均]日最高気温35℃以上の年間日数(猛暑日)棒グラフ(緑)は各年の年間日数を示す。太線(青)は5年移動平均値、直線(赤)は長期変化傾向(この期間の平均的な変化傾向)を示す。
データ出典:気象庁

暑さが厳しくなっているのは日本だけではありません。2021年6月にはカナダのリットンで最高気温49.6℃を観測し、カナダの最高気温の記録を更新しました。また同年8月にはイタリア南部シチリア島のシラクサで48.8℃を観測し、WMO(世界気象機関)の検証で記録が確定すれば、ヨーロッパの観測史上最高気温となります。

(2)どうして暑くなっているの?

気温が上昇していることを地球温暖化といいます。地球温暖化は、車や飛行機を動かしたり、電気を作ったりすることで発生する二酸化炭素などの温室効果ガスの増加によってもたらされます。
温室効果ガスには、地表から宇宙に逃げる熱を蓄えて再び地表に戻すという性質があります。これにより地球の平均気温は約14℃と私たちが快適に暮らせる気温に保たれているのです。ところが18世紀半ばの産業革命以降、石炭や石油をたくさん使うようになったことに加え、森林の減少などにより温室効果ガスの濃度が急激に増加し、地球が温められすぎてしまっているのです。

温室効果のしくみ温室効果のしくみ出典:気象庁

(3)地球温暖化が進むとどうなる?
止めることはできる?

このまま対策をせずに地球温暖化が進むと、2100年には猛暑日どころか最高気温が40℃を超える地点が続出し、夏の外出が難しくなると予想されています。それだけでなく、熱中症で1年に亡くなる人の数は1万5千人にのぼり、日本に来る台風が強まったり、農作物が育ちにくくなったりするおそれがあるのです。

2100年 未来の天気予報(『1.5℃目標』未達成※·夏)2100年 未来の天気予報(『1.5℃目標』未達成※·夏)環境省ホームページを元に作成
Infographics by HIROKI MASUDA ©GLOBERIDE

これを食い止めるには温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする必要があり、皆さんの協力が欠かせません。二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを自宅に導入したり、車をEV(電気自動車)にかえたりするなど、私たちにできることはたくさんあります。ぜひ、ご家族や学校でできる対策を話し合い、積極的に行動しましょう。

※2015年に採択された国際的な枠組み「パリ協定」では、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが示された。「2100年 未来の天気予報」では、気温上昇を1.5℃未満に抑えることができなかった場合を想定。

Column釣りと天気「釣り人が感じる地球温暖化への危機感」 Text/OrangH

釣りと天気「気圧と魚の関係」

海釣りを楽しむ人の中には「同じ海域なのに釣れる魚の種類が変わってきた」と感じている人は多いだろう。これまでよく釣れていた魚の姿をだんだん見かけなくなったり、逆に、これまで釣れなかった南方系の魚が釣れるようになったり…。これらは地球温暖化による海面水温の上昇が理由の一つだと言われている。
気象庁によると、日本近海の平均海面水温(年平均)は2021年までのおよそ100年間で1.19℃上昇している。この上昇率は、世界平均の海面水温上昇率(+0.56℃/100年)よりも大きく、日本近海の海面水温の上昇はかなり深刻である。海面水温の変化は魚の分布に影響を与えていて、例えばサワラは、これまで九州や瀬戸内海でよく釣れた魚だが、今はもっと北の海域でも釣れるようになっている。また、ブリも分布域が明らかに北上している。自然と向き合うことを楽しむ釣り人としては、もっと地球温暖化への関心を深め、大切なフィールドを守るために何ができるかを一人一人が考えていきたいものだ。
参考:気象庁「海面水温の長期変化傾向」、気候変動適応情報プラットフォーム「気候変動と適応」など

太田絢子さん

太田絢子さん(気象予報士/防災士)

中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、災害の被害に遭う人をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。2019年4月からは地元の東海地方で活動中。