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気象学

<第7回>
見つけてみよう!空の虹色

見つけてみよう!空の虹色

(1)虹ができるしくみ

ふと空を見上げると、きれいな虹に出会い、心が躍るような経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
虹は、太陽と反対側の空で雨が降っているところに見られる、円弧状の光の帯です。この赤から紫までの虹色は、太陽の光によって生み出されます。太陽の光は雨粒に入るときと、反射して出ていくときに少し折れ曲がって進みます。折れ曲がる角度が光の色によって異なるため、色ごとに光が分かれて虹色に見えるのです。ちなみに、日本で虹といえば「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の7色で表現されることがありますが、国や地域、文化によって3色や6色など、様々です。

見つけてみよう!空の虹色

(2)虹と出会う方法

虹に出会えるのは偶然と思うかもしれませんが、じつは、虹に出会える確率がぐっと上がる方法があるのです。
虹は太陽と反対側の空で雨が降っているところに見られますので、雨雲が通り過ぎてすぐに太陽が顔を出すような天気のときに出会いやすいです。例えば、夕立やしぐれのような天気です。しぐれとは、主に日本海側で晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨のことをいいます。
今は気象庁ウェブサイトなどで、雨雲レーダーの情報を簡単にチェックできます。雨雲が通り過ぎたタイミングを狙って太陽と反対側の空を見上げれば、虹がかかっているかもしれません。ぜひ挑戦してみてくださいね。

ナウキャスト(雨雲の動き)を使ってみようナウキャスト(雨雲の動き)を使ってみようレーダーの雨量情報は、見え方は少し違ってもデータはほとんど同じ。使いやすいウェブサイトやスマホのアプリを探しておこう。
出典:『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎 著/KADOKAWA発行

(3)虹だけじゃない!空の虹色

空に広がる虹色は、虹だけではありません。実は、雨が降っていなくても空に虹色が現れることがあるのです。例えば、氷でできた巻層雲(うす雲)に現れる、ハロやアークという現象があります。
ハロは太陽や月を中心にしてできる虹色の光の輪のことで、季節を問わず頻繁に出会えます。また、アークには多くの種類があります。たとえば、「逆さ虹」とも呼ばれる環天頂アークは、一年を通して見られる現象です。朝や夕方に、空に腕をまっすぐ伸ばしたときに太陽から手のひら二つ分上の、高い空で見られることがあります。「水平虹」とも呼ばれる環水平アークは、太陽が高い位置にくる春、夏、秋の昼前後の時間帯に、太陽から手のひら二つ分下の、低い空で見られることが多いです。
空の虹色は多くの種類がありますが、下のフローチャートを使うと判別しやすいです。見つけるととても素敵な気持ちになれる空の虹色を、ぜひご家族やお友達とも共有して、空との楽しい時間を過ごしましょう。

空を見上げて虹色を探そう!空を見上げて虹色を探そう!出典:『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎 著/KADOKAWA発行 (一部追加作成)

Column釣りと天気「虹の魚、シイラの不思議」Text/OrangH

釣りと天気「気圧と魚の関係」

「虹が出るとよく釣れる」という人もいるが、それは雨上がりの気圧や魚の活性などによるもの。虹とは直接的には関係がない。しかし虹を見れば誰でも心が浮き立つし、虹を見ることができた幸運を感じる気持ちが釣果に影響を与えているのかもしれない。
ところで「虹の魚」といえば、何を思い浮かべるだろうか? 熱帯魚には体色が美しい虹色の魚は多いが、釣魚の中にも虹を連想させる魚はいる。例えばシイラ。銀色の体色に背面から腹面にかけて青緑のグラデーションが美しく、その上には小斑点がある。海から釣り上げると、興奮と警戒から青色、緑色、黄金色と目まぐるしく色を変化させることから「虹の魚」とも言われている。ただし死んでしまうと急速に色があせてしまい、美しい虹色は失われてしまうのだとか。あっという間に空から消えてしまう虹のように、美しいシイラの虹色を見ることができるのは、釣りのファイトの間と釣り上げてからのほんの少しの間だけ。シイラと真剣に対峙する釣り人が味わえる美しい虹色だ。
参考:DAIWA「釣魚図鑑」など

太田絢子さん

太田絢子さん(気象予報士/防災士)

中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、災害の被害に遭う人をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。2019年4月からは地元の東海地方で活動中。