高本采実 先生
近畿大学農学部水産学科を卒業し、在学時はサメやマグロをはじめとした魚の研究に没頭。
現在はSNSや各メディアにて釣りと共に魚の生態をはじめとした豆知識をイラストと共に発信するなど、魚の魅力と釣りの魅力を伝えるために活躍中。
秋から冬にかけ大きいサイズが釣れ出すサヨリ
下あごがびょいーんと伸びているかわいい回遊魚です。
今回は、サヨリの姿形の誕生と秘密についてご紹介っ
◆産卵期
産卵期は4〜7月頃(水温14.0〜23.4℃)
産卵盛期は5〜6月です。
◆群れの性比
群れで回遊するサヨリ。
成魚の群れの性比(オス:メス)は、産卵期を基準に変化します。
産卵期前_1:1
産卵期中_1:1 または オスに偏る
産卵期後_メスが多い
一方、未成魚の群れの性比は、ほぼ1:1です。
◆産卵から孵化まで
サヨリは、流れ藻(特にホンダワラ類)をはじめとした浮遊物に卵径2.0mm前後の卵を産みつけます。
(時には、木・小枝・竹などにも)
流れ藻に産みつけられたサヨリの卵は、
孵化するまでの約2週間、限られた範囲内でかなり複雑に漂流します。
(が、あまり遠くまで流されることはありません)
そしてなんとその間漂流した総移動距離は
MAX27マイル!(43.4523km)
JR大阪駅〜京都駅ぐらいの距離です(約43km)
◆孵化後
孵化後10日目ぐらいに、全長約10mmまで成長し、
その頃、サヨリの特徴である下顎が伸張してきます。
◆下顎について
サヨリの下顎は、エサの捕食に適応しています。
表層近くにいるプランクトンや、水面に落ちて浮かんでいる虫などをすくい取って食べるのです。
ちなみにエサがたくさんある環境の時、
魚体の大きさ関係なく食べ続けること30分位で
飽食(お腹いっぱい)になります。
そんな便利な下顎ですが、、、
実は産卵時に流れ藻に卵をうみつける際、
下顎が藻に絡まりそのまま天国へ飛び立つケースもあるのです…
それでも下顎が長いことの恩恵の方が大きかったので今のサヨリがいます。
物事には必ずメリットデメリットが生じてくるものですね。