D.Y.F.Cオンラインアカデミー 4コマ水産学
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4コマ水産学

高本 采実

高本采実 先生

近畿大学農学部水産学科を卒業し、在学時はサメやマグロをはじめとした魚の研究に没頭。
現在はSNSや各メディアにて釣りと共に魚の生態をはじめとした豆知識をイラストと共に発信するなど、魚の魅力と釣りの魅力を伝えるために活躍中。

4コマ水産学「バラムツ」編

  • バラムツ
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  • バラムツ

みなさん、深海にバラムツという巨大魚がいるのをご存じでしょうか。
実はこの魚、私も食べたことあるのですが、
口に入れたら身が溶ける!!
実はとっても美味しい魚なんです
しかし!食べすぎると危険な魚…

さぁ、その真相に迫っていきましょう

◆バラムツの脂質
魚肉にはなんと、「ワックスエステル」がたっぷり含まれており、人体では消化できない成分なのです。
その為、食べすぎるとお尻から脂が出てきますマジで。
(目安としてMAX刺身3〜5切れが境目。これ以上食べると…)

下剤に用いられているヒマシ油に匹敵する下痢症状が引き起こされます。

◆ワックスエステルを大量にもつ理由
というか何故こんなにワックス含んでるねん!?
て疑問に思いますよね。
ざっくり4つ理由があります。

①食物連鎖
いわゆる一般的な食用魚の魚に含まれる脂質と比べ、ワックスエステルは比重が大きい為
水深が増すにつれて、ワックスエステルを含むプランクトンが増えます。
そしてそれをエサにする魚がおり、
その魚をさらに食べる魚がいて…
ということで深海400〜800mに生息するバラムツもその魚を食べることでワックスエステルが体に蓄えられます。

②消化機能
ワックスエステルを含む魚を食べることで体内に備わるのですが、大部分の魚はこのワックスエステルを消化します。
しかしバラムツ、実は消化機能が弱く
その為大量にワックスエステルをもつといわれております。

③エネルギー
ワックスエステルは比較的代謝されにくいので
普段は脂質として貯蔵しています。
が、エサの供給が不安定な深海。
なんと飢餓状態になると、このワックスエステルをエネルギーとして利用し生き延びるのです。

④浮力
バラムツには鰾(ウキブクロ)がありません。
そこでこのワックスエステルが大活躍!
ガスの吸収が速い上、吸収量も多いので、
浅深移動をするときの水圧変化や浮力調整にも役立っています。

ゲームフィッシングとして戦わしてくれる魚、バラムツ!
ビッグゲームが盛んな今、意外と身近に釣れる魚でもあるので、ファイトの特訓にもなりますよ

<参考文献>
Nobuko Kawai(1984),非トリグリセリド脂質を含む魚,生活衛生28-5

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